21/09/24

機械式ディスクブレーキの限界

新試乗車の「ANCHOR/CX6」はアルミフレーム・シマノ105コンポ・手組みホイールと特に目新しいところは無いバイクなのですが、ブレーキだけ新しい試みをしています。いま話題の新しい機械式ディスクブレーキキャリパー「Growtac/Equal」を付けたのです。

皆さん御存知の通り、ロードバイクの機械式ディスクブレーキは効きません。「全然止まらなくて危険」ってほどじゃないけど油圧ディスクブレーキよりもリムブレーキよりも効きは悪いです。当店では「これは危険」と判断した機械式ディスクブレーキロードバイクは、キャリパーを「シマノ/BR-RS305」に無償交換して納車していました。それでも油圧ディスクには遠く及びません。
Newデモバイクで試す機械式ディスクブレーキキャリパー「グロータック」は、ブレーキパッドとケーブルの効率的な動きを追求した設計で、”まともに効く機械式ディスク”を目指して作られた新製品です。定価¥33,220とシマノBR-RS305(定価¥11,680)の3倍ものお値段ですが、キャリパー本体もブレーキパッドもケーブルもかなりコストをかけている造りが見て取れます。果たしてそれに見合う制動力が得られるのでしょうか…

結論から言うと「う~ん…ロードバイクの機械式ディスクはこれが限界なのかな…」という感想です。
今週の定休日ライドで千m級の峠を下ってブレーキを慣らせました。ハードブレーキングを繰り返してローターとパッドを面出しし、ブレーキケーブルを馴染ませ、その上でもう一度ローター/パッドのクリアランスを調整します。するとツーリング終盤でこのキャリパーの性能が見えてきました。結果は「既存の機械式ディスクの中では最も良い」「だけどやっぱり油圧ディスクには敵わない」「お客様に”ちゃんと止まれるブレーキです”と御案内できるけど、”どんな状況でもガッツリ効きます!”と自信を持って勧めるほどじゃないな」「シマノより効くけど効果3倍ってほどじゃないな」「3.3万円はちょっと高価いな」といったところ…
ロードバイクの機械式ディスクのセットアップは「ケーブルのスムーズな動き」と「ローター/パッドのクリアランスをギリギリ詰める」の2点がキモだと思います。グロータックはこの2点を考慮したとても調整しやすい設計で、機械式ディスクの欠点を良く分かっているメーカーが真面目に開発したのを感じ取れます。それでもやっぱりもうちょっと効いて欲しい… ロードバイクの機械式ディスクはこれが限界なのでしょうか…
ブレーキのフィーリングというのは個人差が大きいので実際に試してみたい方は試乗車に乗ってみてください。在庫もしておりますので「ディスクロードの組み立てを機械式ディスクブレーキで考えている」という方は是非どうぞ!

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