22/02/14

融けて癒着するアルミ

メカトラブルの注意喚起です。昨年後半あたりから頻発するようになってきたので載せておきましょう。
アルミのスモールパーツがフレームと固着してしまうトラブルです。
数件起きたのですが、全てのケースで共通するのは「フルカーボンフレームのロードバイク」「オーナーがたくさん走る人」「オーナーが多汗」という点でした。

2件の例を紹介します。
ケース①【S-Worksターマック】カーボンフレームのアウター受けにシフトアウターキャップ(アルミ製)が固着

ケース②【TIME/ZXRS】カーボンフォークにブレーキキャリパー固定ナット(アルミ製)が固着

①は摘出作業しにくい形状で手こずりました。S-Worksフレームに傷をつけたら大変です。最終的には常連のお客様(精密機械工作を得意とするIさん)に手伝ってもらいました。精密リューターでアルミのアウターキャップのみを削り出すことに成功しました。Iさん、ありがとうございます。
②はブレーキキャリパーを外してから逆側から引っ叩いて摘出しました。フロントフォークは無事です。
下の写真が摘出したアルミスモールパーツ。上が①のアウターキャップ、下が②のキャリパー固定ナットです。どちらも原型を留めていませんね。粉々になってフレームから摘出されました。


「カーボンフレームに金属パーツは固着しない」と思っているお客様が多いですが、汗や泥で錆びたアルミパーツは錆びが悪化すると融けて対象物と完全に癒着してしまいます。
フレームと固着しないまでも、スモールパーツが融けて変形している場合も多いです(写真下はターマックSL4のブレーキアウター受け)。

昨年からこのトラブルが多発してきたのはZWIFTの流行が関連していると思います。持ち込んだお客様の多くがズウィフターでした(ケース②のTIMEはZWIFTバイクじゃないけど実業団レーサー)。汗がボタボタとバイクに垂れるローラー台はパーツ固着トラブルが起きやすいです。皆さん注意しましょう。

「注意しろったって、こんなフレームに埋め込まれたアルミパーツは洗車でも綺麗に出来ないよ」と皆さん仰るでしょう。
まずバイクに汗が沁み込まないようにすることが肝心です。ZWIFTライダーの皆さんはバイクに汗が垂れないようタオルなどで保護して下さい。
そして定期的な整備も大事です。たくさん走る方・多汗の方は定期的にオーバーホールに出して全バラのメンテナンスをしましょう。
私のほうはオーバーホールでお預かりした自転車が白い粉をたくさん吹いていたら多めにグリスを塗って組み立てております。

今年は雪が多くてインドアでトレーニングされる方が多いと思いますが「バイクに汗が垂れると怖い」と覚えておいて下さい。

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