22/06/05

ケーブル完全内装

昨日の日記で紹介した「Scott/Foil RC」は、カタログ画像ではケーブル類が全く露出しない「完全内装式」のロードバイクです。カッコ良いですね。しかし今回納車したFoilは普通のアヘッド式ステムを使い、ブレーキホースの一部を外に這わせる「セミ内装」で組み上げました。理由は3つ、「パーツ在庫」「価格」「ポジション合わせ」です。

まず「パーツ在庫」。Foil専用のステム一体型ハンドルが「欠品中・納期未定」でした。
次に「価格」。このFoil専用カーボンハンドル、9万円近くします。かなり高価いですね。
そして最も大きな理由が「ポジション合わせ」です。このFoil専用ハンドルで組み立ててしまうと、後からステム長を変更するのは不可能なんです。フォークコラム長の変更も困難になってしまいます。しかし新車を購入してから暫くのあいだは、ベストなライディングポジションを探るために微調整しながら乗るものです。故に今回、オーナーのIさんは普通のアヘッドステムで乗ることを選びました。じっくり乗り込んでステム長とハンドルの高さがバッチリ決まったらステム一体型カーボンハンドルにする予定です。

当店デモ車の「Addict RC」も同じ理由で普通のアヘッドステムで組んでいます(上写真)。デモ車なのでカッコ良く組むのは大事なんですが、皆さんにも乗って頂く試乗車なので簡単にライポジ変更できないと困るのです。

いま流行りの「ケーブル完全内装型ハンドル」、カッコ良いんですが私は否定的です。数年後には廃れていくんじゃないかと思っています。フレームの中を通すくらいまでなら良いんですが、ハンドルとステムとフォークコラムの中まで通すとなるとやり過ぎなんじゃないかな… 「ライポジ変更できない」「パーツ代は高価い」「ケーブル交換工賃も高価い」「納期は長い」「機械式変速や機械式ディスクブレーキだと動作にも悪影響する」とデメリットばかり増えてゆきます。メリットは殆んどありません。え?空気抵抗低減? いやぁケーブルが外に出てても中に入っても我々の走る速度は変わりませんよ…

スポーツ自転車の世界は新しい技術がどんどん生み出されてきます。それは良いことですが、ユーザーに利点が無くデメリットばかりの商品規格は消えてゆきます。インテグラルシートポストしかり、圧入BBしかり… ケーブル完全内装はどうなんだろう… スポーツサイクリングからポジション変更の自由度を奪ってしまうのは私は疑問です。当店のお客様はステムやハンドルを交換してポジション変更を楽しむ方が多いのでなおさら心配です。

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