22/12/16

鉄の板も擦り減ります

お客様KさんのS-Works Roubaixです。4年前にお買い上げ頂いたバイクで、今回はオーバーホールでお預かりしました。Kさんはほぼ1年おきにオーバーホールを御依頼くださいます。

これが3回目のオーバーホールですが、今回初めて交換した消耗パーツがあります。ディスクブレーキのローターです。
ディスクブレーキを御利用の皆さん、ブレーキパッドの消耗は意識してくれるようになりましたが「ディスクローターは替え時が分からない」と言う方が多いです。Kさんのバイクが良い見本になるので、今日はディスクローターの摩耗について説明します。

擦り減って薄くなったら交換です。シマノのローターは「厚さ1.5mmを切ったら交換」とされています。交換時期を過ぎたローターは指先で撫でるとはっきりと分かるくらい段差がつきます。
ノギスなどで測りましょう。測るときはローターの端っこでなく、擦り減った面で測るように注意しましょう。「ノギス持ってない」「測り方が分からない」という方はショップに持って行って点検してもらいましょう。
Kさんのローターは厚さ1.2mmを切っていました。要交換です。

「まだギリギリまで使えるじゃないか」と思われるかもしれませんが、メーカーの推奨する交換目安は守ってください。シマノのディスクローターは熱伝導効率の高いアルミ板を耐摩耗に優れたステンレス板でサンドイッチする構造となっています(“アイステック”と呼ぶ構造です)。Kさんのローターを見ると擦り減ったステンレス層が剥離しかけている個所が幾つもあります。これ以上使うと危険です。

今回、Kさんのバイクは後輪側のローターのみ交換しました。前輪のローターはまだ使えます。ユーザーによって前輪と後輪のブレーキ消耗比率が大きく異なりますが、「前輪寄り」「後輪寄り」「前後均等」どっちでも良いと思います。ブレーキをロックせず安全に制動できるならやりやすいほうでブレーキ操作して下さい(ちなみに私も後輪寄りです)。
今回はブレーキパッドも交換しました。後輪側はオイルブリーディングもしました。ブレーキオイルの交換(またはエア抜き)はパッドとローターを新品に交換したタイミングで行うと良いでしょう。
ブレーキ周りもリフレッシュして安心・安全に走れるよう整いました。また1年間たくさん走ってください。

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