22/11/18

ママの手も借りたい

今月はオーバーホールの御依頼が多いです。Paypayポイント還元キャンペーンの効果でしょう。オーバーホールは大きな出費になるので還元ポイントも多く得られます。
このオーバーホール作業について、先日、作業明細書の内容で御質問を受けました。『作業項目の中の「ヘッドセットの分解~洗浄~グリスアップ」というのはどういう作業か?』という質問です。これについて説明しましょう。

“ヘッドセット”とはフレームのヘッドチューブに埋め込まれたベアリングとレースを指します。ヘッドチューブに差し込まれたフロントフォークを滑らかに動かし、スムーズに操舵するための大事なベアリングです。
BB・ハブ・ペダルなどの他のベアリングと異なるのは「駆動力には影響しないのでベアリングの回転効率は重要でない」という点です。速く走るためにグルグル周っているベアリングではないので、セラミックベアリングのような高級ベアリングである必要はありません。しかしここにガタやゴリや異音が出ると操舵に影響するので、剛性とシール性は重要なパーツです。

オーバーホールではここをバラしてきれいに汚れを取り、薄くグリスを塗って(人によっては厚めに塗る)、適度なアタリでベアリングを押して閉じる、という作業を行います。
外からは分かりませんが、ヘッドセットの下側は泥が溜まりやすいのです(上の写真)。泥が溜まったままにしておくと異音と錆びの原因になります。
ヘッドセットの上側は泥や雨よりも皆さんの汗が大敵です。浸み込んだ汗でフォークコラムとスペーサーが完全に固着してしまったり、ベアリングがぼろぼろになってしまった事例を何度も見ました。

ここ数年の私の悩みは「ヘッドのメンテナンス作業が腕二本だけでは難しくなった」という問題です。今まではオーバーホール作業の際、フレームとフォークとハンドルを完全に分離してヘッドの作業を行っていました。しかし近年のバイクは油圧ディスクブレーキのホースがハンドル~フレーム~フォークの内側を通っているので分離できません。というわけでじて吉ママに「ハンドルとフォークを持ってて」とお願いしてヘッドのパーツをシコシコ磨いております。スペシャライズドのルーベのようにサスペンションが内蔵されていたりすると、さらに手を借りたくなります。
お店に一人しか居ないショップの店長さんは大変だと思います。作業スタンドやクランプを工夫しないと出来ない作業です。

オーバーホールの作業明細書で、「ヘッドセットのメンテナンス」の金額がバイクによってまちまちなのはこんな理由からです。固着や汚れや構造によって作業工賃が増減します。御理解ください。
また、ヘッドのベアリングは分解~洗浄~グリスアップしたあと、緩いアタリで閉じます(きつく抑えるとゴリゴリのステアリングになっちゃうから)。なので暫く走行すると微妙にガタが出る場合があります。ヘッドにガタを感じたらバイクをお持ちください。ベアリングのアタリを調整し直します。
外からは見えないので傷みに気付き難いパーツですが、定期的にメンテナンスすることをお勧めします。

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